ボクが家具屋の店員だったころにときどきあったお客さんからのクレーム。
それは、届いたものがお店で見たのと柄が違う!という内容。
ここでお客さんが言っている柄とは木目のことなんですが、違うのはあたりまえです。木なんだから。あれだけ買うときに説明しているのに、わかってくれていない人もいるんですよね。
木目は木によって違うし、同じ種類の木でできた家具でもひとつひとつ違います
無垢材のもの(木をそのまま使ってつくってあるもの)はもちろんひとつひとつ木目が違うってわかりますよね。お客さんもだいたいわかっているんです、ひとつひとつ違うんだ、それが無垢材の木の質感のいいところなんだと。
もちろん説明もちゃんとしてますし。でも、実際に家に届くと、これはお店で見たのと違う!ってなるんです。不思議ですよね。
全く同じ木目のものがほしければ、お店の見本そのものじゃないと同じになりません。でも、お客さんにそれを話すと、新しいものがほしいってなるんです。
なので、じゃあ、木目は同じにならないですけど新しいものを取り寄せてお届けしますね、となるんですが、やっぱり違うという…そんな人いるわけない、と思うかもしれませんが、いるんですよ、実際。
ひとつの家具でも木目は変わります
「突板(つきいた)」ってわかりますか?
突板とは、木を薄くスライスしたものです。この、木を薄くスライスしたものを表面に貼った家具ってすごく多いです。
突板の家具は、木目がだいたい似た感じになります。例えば、タンスの扉。右と左で似た木目に仕上げることができます。同じ木材から取った突板を使えば、そりゃ木目は似ますよね。だいたい同じな感じになります。
無垢ではこうはいきません。まぁ、無垢の扉はいまはあんまりないですけどね。だって、無垢材ってよく反ったりしますから。
突板のものは、木の質感を感じられる仕上げながら、きれいな木目のそろった家具になります。それでも、やっぱり違う!っていうお客さんているんですよ。
プリントシートを貼った家具なら木目は同じになりますよ
どうしても納得できないというお客さんには、プリントシートを貼った家具をおすすめしてました。
プリントシート…そうです、木目を印刷したシートを使った家具です。
これなら木目は全く同じです。印刷ですから。
でも、木の質感とかはぜんぜんないですけど。それでも、多少の凹凸がついているものがあったり、木に似せるための工夫がしてあるものもあったりして、それはそれでいいと思うんですよ。
でも、プリントシートじゃなくて木で同じものじゃなきゃダメ!というお客さん、けっこういます。そうなると、もう無理なので、プラスチックのものとかおすすめします。
ひとつひとつ違うのが木の家具よさであることをわかってほしい
ひとつひとつ違うというのも、木の家具のよさであるということをわかってほしいです。木なんですから。
何年も何年も同じ場所に立って、少しずつ少しずつ幹を太くしていって、ゆっくり育ってきて家具にされちゃうんですから。家具になる前の、地面に根を張って立っていたときのことにも思いをめぐらせてもらえたらいいなぁ。