無垢の木の家具がいいっていう人、けっこういるんですよね。
ボクが家具屋の店員だったときも、お店でお客さんから「これって無垢?」「無垢の家具がいいんだよ」「やっぱり家具は無垢じゃなきゃな」とかってよく言われました。
でも、ほんとにわかってます?無垢の木のいいところ、よくないところ。
「これって無垢?」って聞いてる時点で、ちょっとどうかな…って思っちゃいます。
無垢の木は反ることもありますし、ときには割れることだってあります
無垢っていうことは、木そのままです。
もちろん十分に乾燥させたり、家具として使えるようにしてある木を使用して家具を作っていますが、木です。
木は「生き物」です。湿気が多ければ膨張しますし、乾燥すれば収縮します。年数がたって木がやせることだってあります。
ということは…
わかりますよね。使っているうちに反ったり、継ぎ目にすきまができたり、割れたりすることだってあるんです。
でも、なかにはそんなこと起こるわけがない、と思っている人がいるんです。「反るなんておかしい。不良品だ」と怒って連絡してくる人が。
木なんだから反ったり割れたりするのがあたりまえ、っていうくらいの気持ちで買ってもらいたい…と家具屋の店員だったときはいつも思っていました。
木はプラスチックや金属とは違います
プラスチックや金属なら、無垢の木よりも反ったり割れたりする可能性は格段に低いです。
なので、無垢の木がちょっと反ったくらいで不良品だ、返品するという人にはプラスチックや金属のものをおすすめします。プラスチックや金属の家具が無垢の木の家具よりも劣るなんていることはもちろんないですし、見た目だってデザインだって機能性だって優れたものがたくさんあります。
でも、やっぱり無垢の木の家具がいい、っていう人、多いんですよね。
だったら、木の特性をよく理解してから買ってくださいね。
無垢の木の家具は高いです
無垢の木で家具を作るということは、木のきれいな部分を使ってそれなりの大きさのものを作るということです。ということは、価格もそれなりに高くなります。きれいな部分をそのまま使うわけですから。
例えば150cm x 90cmの無垢一枚板のテーブルを作ろうとしたら、少なくとも木の太さが90cm以上ないと作れないというのはわかりますよね(実際はもっと太くないと作れないですが)。それも、きれいなものでないと作れないんですから(空洞があったりする部分は使えないですよね)、そりゃ高くなります。
なので、高くても怒らないでくださいね。
無垢一枚板は高いので、はぎ材、集成材のものにする、という手もあります
無垢の一枚板はやっぱり高いので、はぎ材、集成材を選ぶという手もあります。
はぎ材とは、木の板を継ぎ合わせたものです。150cm x 90cmのテーブルの天板を例にすると、無垢一枚板では150cm x 90cmの木が必要ですが、150cm x 10cmの板を9枚継ぎ合わせて作るのがはぎ材です。150cm x 90cmよりも150cm x 10cmのほうが木を調達しやすいですよね。なので、コストを下げられるわけです。
集成材は、木のブロックを継ぎ合わせたものです。こちらはさらに小さな木を継ぎ合わせて作るので、さらにコストを下げられます。
実際には、テーブル天板は、はぎ材、集成材のものがすごく多いです。
他にも、MDF(ミディアムデンシティファイバーボード)に突板(木を薄くスライスしたもの)を貼ったものや、メラミンシートなどのシートを貼ったものなどありますが、それはまたの機会に。